資金繰りの苦労から抜け出す!建築業が実践する3段階改善法
建設業に限らず中小企業の経営課題の一つ「資金繰り」は永遠のテーマかもしれません。
そんなことはわかっているんだけど、どうも上手くいかない。
このままだと資金ショートする!
給料が払えない!
借入の返済は容赦なく引き落とされる・・・・と
日々ヒヤヒヤ、不安と闘いながら忙しい現場仕事に振り回されている・・・
~こんなスパイラルから早く抜け出して、余裕で資金を回し、支払いもきちんと予定通り
安心して経営に専念したいはずです。
建築・工事会社は現場ごとの入出金のノートやエクセルなどつけているけど
つけただけで安心してしまう。
それをもっと経営に活かすための
自社オリジナルの「実行予算計画シート」で
↑サンプル
もっと「見える化」して、極論いえば「粗利」だけ徹底的にチェック!
すればいいんです。
これは下請けだろうが、元請けだろうが、建築・工事業のあらゆる工種でも全て必須です。
実は、私山口晴一郎(はるいちろう)は会計事務所で15年間、ビジネスはキャッシュを生まなければ、そこに価値は存在しないことを学び、そして、この資金繰りで苦労されている社長さんをたくさん見てきました。
そして、その対策には、100%に近い確実性のある「事業計画」の策定を何百もお手伝いしてきました。
その膝をすり合わせて上手くできるようになった事例をもとに
この問題を3つのステップでもって取り組む段階的に改善する方法お話します。
Contents
資金ショートの原因は?こんなことになっていないですか?
特に下請けの場合、立場的に納期スケジュールが引き合い条件みたいになっていないか・・・
受注を取らないことには話にならないから、入口の時点でバタバタしている
しかも人工(にんく)や部材費を早く手配しておかないといけない。
色々先に準備する必要があるから
どこか、ヤマ勘で動いている会社も少なくない。
正式な見積もりは後回し!
受注の時の「とりあえず見積もり」の積算がテキトー状態になっている。
そこで、どうしているか・・・
一応、昔作ったエクセル表や、忙しいからノートに書いたほうが早い!
ということで、まあそこは律儀に書き留めている。
(きちんと記録していればいいのですが、ひどいところは、見積書~請求書しか作らない所もあります)
つまり、受注の時から、記録こそはつけていても、この資金が足りなくならないような対策が施されていないんです。
でも、大丈夫です!
これから解説する3つの段階的改善に取り組めばいい訳ですから。
資金繰りを上手くいくための仕組みをつくる3つの段階的改善法
1段階目:「粗利益」を確保するための収益の構造を理解して「どこが儲からない原因になっているのか?」を書き出す
ご存じの通り、売上がなくては、会社経営は続きません。
そして、その売上から、原価を引いて、どれぐらい「粗利」を出せているか!です。
また、その粗利の中から、人件費、家賃や光熱費などを支払ったあとで、さらに残こすべき「営業利益」までをきちんと出すことまでが、社長の仕事です。
実はここを、日々の忙しさにかまけて、流れて、後になって、あたふたしてしまう・・
のが、資金ショートの呪縛から抜け出せない経営体質をつくってしまっているんです。
下の図だとその構造がよくわかるかと思います。
↑「どこが儲からない原因になっているのか?」を書き出してみよう!
2段階目:「原価」をいかに低減、おさえるかのプロセスを書いて改善できるところを上げる
原価のところは、もちろん工事の費用です。
その工事原価にはどんなものがあるか?
主に、直接工事に携わる「純工事費」には「直接工事費」や「共通仮設費」があります。
また、「現場経費」には「諸経費」などあがります。
ここで、この工事原価の抑え方のポイントは、どの費用が、どういう時に出て、なぜその数なのか?などの現場での完成引き渡しまでにどのような費用がかかるか?の性質を理解しながら、常にそこで改善できそうかを考えていくことです。
例えば共通仮設費でいうと、仮設に伴う光熱費、仮設施設の有無などが例です。
まあ、ここぞとばかり「工事原価」をマニアックに分析してみる。
“原価の達人”になる・・・です。
他のもいろんな視点があります。
ご紹介します。
・ 材料仕入単価の見直し
・ 材料使用料の削減
・ 外注のカット(内製化)
・ 不良/ムダロスの削減(整理整頓)
といったところでしょうか。
「原価」をいかにおさえるかのプロセスを書いて改善できるところを上げてみよう!
必ず改善箇所が見つかるはずです。
3段階目:「実行予算」を記録し、現場別の粗利率の分析と粗利を上げる改善活動の計画へ着手
ここまでくれば、あとは実行あるのみですが、よく計画をつくってこれも安心しちゃう傾向があります。
また、「工事台帳」や「実行予算シート」を記録するだけで、終わってしまっている会社も少なくないです。
で、ここは、記録したら、それを今度は「測定」する必要があります。
この測定結果もまた、面白い局面を迎えることもあります。
第一段階で、説明した、現状の自社の経営課題を見つける!
といいましたが、その課題とは全く気づきもしなかったこと、またその課題は思い込みのどんぶり的なものだったりします。
だから、この「測定」まできちんと、正しいやり方で実施してほしいいんです。
このような、当初とちがう経営課題の認識のズレが、徐々に資金ショートの体質へといざなうのです。
その測定結果に基づいて、課題要素をまとめて、一つずつ、営業会議や、職長会議を開いて、その課題となっているテーマを会議場の「まな板」に載せて」吟味して改善策を迅速に決める!!
です。
会議は大事です!唯一のコミュニケーションの場です。
その結果でアイディアや方法論については、今度は
「行動計画(アクションプラン)」という5W1Hを使ってまとめた計画書を作成していきます。
ここまでくると「資金繰りの苦労から解放されていきます」
ちょっと大変に思うかもしれません。
またこのような話をいきなりすると、ほとんどの建築業の社長は、面倒くさそうな感情をあらわにしますが・・・・・
これをきちんとやっている会社こそ、黒字化の経営をしています。
よく、試験当日に、「どう勉強した?」
「いや、俺昨日、寝ちゃって全然やってないよ~」と言って
ちゃっかり100点とるやつ
昔いなかったでしょうか?
誰もが、若いころ経験する・・・・やっている“やつ”が結局は勝つという話です。
今回お話しているのは、試験勉強の結果ではなくて、経営が逼迫するか否かの問題ですから・・・・
面倒なんてことは経営には、ありません。
やるかやらないかで雲泥の差がつきます!
そして、これらの改善がうまくいくと、今度は、借入金の返済が順調に進みます。
ここまでの、「仕組み」をぜひとも構築してほしいとおもいます。
想像してみてください!
・毎日の仕事が快適で楽しい!
・笑いが止まりません!
・粗利改善に成功!ボーナスに喜ぶ社員の顔
・枕を高くして眠れます!
返済が済めば、今度は、ヒトの投資、設備の投資をして、さらなる事業を成長させるために改革を進めていきましょう!
改善活動の計画をたてて早速実践していきましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
「資金ショート」それは、経営活動の「結果」です。
社長は、「資金ショート」の傾向が出始めたら(いやそうではなくても、放漫経営は禁物)即実行。
早急に計画を立てて、最悪の事態にならないよう心して取り組んでください。
また、これらの対策をやるには、まずどこから始めていいのかよくわからない!
という相談も多いのも事実です。
よく、こういう例え話をします。
会社のお金は、人間でいう「血液」です。
ヒトは「血液」がないと死んでしまいます。
会社も同じ、それだけ心して取り掛かってほしいとおもいます。
1:現状把握して、収益構造上と経営の目的を認識する
2:粗利(率)をあげるにはどうすればいいかの「原価」の改善とその体制を作りなおすこと
そのためには、チェックを厳しく、多少ケチケチするぐらいがちょうどいい。
今回は「粗利」だけをみてほしい!
といいいましたが、なぜか?
もちろん売上がないことには、粗利など存在しませんが・・・・
建築業のお仕事は、ここの「原価」のところがメインのお仕事だからです。
受注を取る「見積り」も原価発生の入り口です。
その後「工期の進捗」、「追加工事」そして「完成」までのほとんどが
この原価の問題だといっても過言ではないからです。
だから、原価の達人になってほしいんです。
~粗利を念種する売上(単価)のアップについてのお話はまた次の機会とさせてください~
3:利益管理の実績表を自社のオリジナルをつくって、常に改善!改善!のマインドで動く
またよく、「資金繰り」は、経理がやる仕事とされている会社がいますが、決してそうではありません。
というか、そもそも、この考え方はNGです。
全員で、この資金の管理、つまり、「粗利」の向上を意識して、銀行などから借りなくてもすむぐらいの強い経営体質を築き
社長はその仕組みをつくることにリーダーシップを発揮していきましょう。
以上、
これらをやっていない所はいますぐ実践へ!
管理表は一応つけているところは、それを経営に活かして更なる改善を!
常に「資金」=「粗利」=「血液」の改善に向けて取り組んでほしいとおもいます。